言葉―それはとても不思議なものです。私たちは言葉一つで、うんうん!と相づちを打ったりつい笑ったり、へぇ~そうなんだ!と驚いて思わず手をたたいたりします。
◆『よりそう言葉』(五木寛之、毎日新聞出版、2025年)を読む
「少年のころ、私は孤独だった」と始まる本書。
著者は青年期をすぎたころ、「あなたは独りではない」「独りでいるときは、わたしとふたりだと思えばいい」というある人の言葉に出会ったそうです。
誰にとっても心折れそうなとき支えてくれた言葉は、いつまでも覚えていて、ふとしたときに思い出すこともあるでしょう。
きょう一日は、著者の“めぐりあった言葉”に寄り添って過ごしてみたいです!
本書から、いくつか紹介しましょう―
1「〇だけでも書いて送れ」(父)
学生の頃、電話で父親に金策をお願いして送金してもらった。が、返事を書かなかったところ、「金が着いたら、〇という絵でもいいから返事をくれ」とのハガキがきた。「万死に価する自分」と思うことがある。
2「暖かくして、よくおやすみください」(ある医師の言葉)
病院にいったら「帯状疱疹」だった。薬のほかに、注意することは?ときくと、このように言われた。エビデンスで証明される当世、この言葉に「病院も捨てたもんじゃない」と思った。
3「失望しても絶望するな」(香港市民デモのスローガン)
どんな状況に陥っても絶望することはない。ほら、ちゃんと生きて息をしているじゃないか。越えられない壁は横へ廻ってみる方法だってあるんじゃないか。
4「私はボクシングと出会って人生が三百八十度変わった」(ガッツ石松)
「言い間違えた」のではなく、ひと回りしてさらに二十度進んだ実感を語ったのだろう。すぐれたアスリートの言葉にはハッとさせられるリアリティーがある。
・以上は、本書に〈百八〉ある中から、選びました。「人の命は短くて言葉に宿る命は長い」―これは、誰の言葉か忘れたのですが、“命ある言葉”大事にしたいと思わずにはいられません。
