今年は、昭和改元100年。学生の頃「いざなぎ景気」という日本経済のもっとも輝いた時代を過ごした私は、「巨人・大鵬(王鵬の祖父)・卵焼き」の世代。
戦後昭和「80年」もベトナム戦争、学園紛争あり、石油ショック、東日本大震災など激動の歴史を過ごしました。学園紛争のときには、ほとんどはノンポリ学生でしたが「革命」をめざす熱い学生もいました。
現在の日本は少子高齢化の荒波が押し寄せているなか、他方ではめざましい勢いの技術革新で生成AIが登場、超高度情報社会が到来しています。
歴史の大転換期にさしかかって、アメリカでは頻繁な政権交代が起きていますが、日本でも本格的な「政権交代」があるのでしょうか。
◆ 『自民党の変質』(佐藤優・山口二郎、祥伝社、2024) 著者:佐藤氏は作家(元外務省勤務)、山口氏は法政大学教授
本書は、時の政権に物申すタイプの佐藤氏と政権交代を期待する山口氏が自民党の動きを中心に、交互に語る政界・永田町の話です。
例えば、昨年の総選挙の争点となった「裏金問題」について、山口氏はかつてのロッキード事件(賄賂総額30億円)のような「『巨悪』にあらず」、「みみっちい」「ショボい」とのこと、佐藤氏は「検察はサンズイ(汚職)に(まで)踏み込まない」と述べています。二人のトークはいかにも日本的な「世間話」のように感じました。
また、与党経験の長い「公明党議員の自民党化」(佐藤氏)などの指摘もありますが、凶弾に倒れた安倍晋三元首相の重大事件には、直接の言及がなく、もどかしさは否めません。
昨年の予想された解散総選挙を前にして、山口氏が「政権交代の空気が生まれてもおかしくはない…それがないのは悲しい」と心情を吐露していましたが、「みみっちい」(佐賀弁なら「こまんちゅか」)裏金なら、しょせん、そんな「空気」は生まれようがなかでしょうけど。
私は、本書を読んで「自民党の変質」というよりも、むしろ自民党が時代の流れに曲がりなりにも対応してきた「したたかさ」を感じ取ることができました。
自民党は高度成長期には「所得倍増政策」、それが終わると国鉄や電電公社の民営化の「構造改革」、そして金権政治が問題化すると小選挙区制導入の「政治改革」、今回は「派閥の解消」というように、手を変え品を変え乗り切ってきました。
このことは、「政権交代なき政権交代」と言ってもよい日本政治の特徴を端的に表しているのではないかと思われます。
自民党を基盤にしたいわゆる「(19)55年体制」は、みんな仲良くの「自由協調的」な日本社会の政治の特質として定着しているように見えます。
野党は政権を取ったとしても、「日米安保」と今の「憲法」を基本とした政策を継承すれば「名ばかり政権交代」となることでしょう。
◎「イゴノミクスの世界」格言と法則
・「取ろう取ろうは取られのもと」!
・政権欲しさに、いわゆる「党利党略」に流されれば、いずれ民意を失い自ら墓穴を掘ることになります。