昨年は、お正月に「能登半島地震」が発生し多くの方々が被災され心が痛みました。一刻も早い復旧・復興を願わずにはいられません。新年にあたって、災害のない平穏な日々と、紛争・戦争のない平和な年となりますようお祈りします。
6 昭和100年を迎えて
『宿帳が語る昭和100年―温泉で素顔を見せたあの人』(山崎まゆみ、潮出版社、2024) 著者はエッセイスト、ノンフィクションライター
2025年の今年、昭和に改元されてから100年を迎えています。著者は、ひと足早く昨年、本書を刊行し、日本人の心を癒してくれる湯宿で素顔になった文人墨客・俳優など「著名人」たちの姿を、現地での丹念な取材をもとに生き生きと描いています。筆者のふるさと佐賀県の古湯(ふるゆ)温泉も登場、映画の名シーンのように「寅は、けぇります!」と、ひと言残して去った渥美清のエピソードなどとても感動的です。
佐賀県には、嬉野温泉や武雄温泉などがあります。今度帰省した折りには、佐賀の奥座敷・古湯温泉に出かけてみようと思います。
7 資本主義の本質に迫る名著
『じゅうぶん豊かで、貧しい社会―理念なき資本主義の末路』(ロバート・スキデルスキーとエドワード・スキデルスキー、ちくま学芸文庫、2022) 著者のロバートは経済史家、エドワードは哲学者、訳者は村井章子(翻訳家)
本書は、よく知られたスキデルスキー父子による、根底的な資本主義経済批判の書です。飽くなき欲望を解き放つ資本主義のもとで、人はどのようにより良い暮らし/人生を送ることができるのか、少数の富者(富裕国)と大多数の貧者(貧困国)に分断する「怪物」資本主義を「鎖につなぐ」方策を提起しています。何の成長か、何のための成長か、と経済成長の意義を再考させてくれます。
倫理資本主義、金融資本主義、デジタル資本主義など、さまざまな呼称で語られる「現代資本主義論」の氾濫する今日、資本主義とはどんな人間社会なのか、また、日本型・アメリカ型・中国型・インド型などの資本主義の特質はなにか、本書を手に取り、じっくり「長考」してみたいです。
8 資産運用立国の「落とし穴」に注意
『やってはいけない! 老後の資産運用』(岩城みずほ、ビジネス社、2019) 著者はファイナンシャル・プランナー、CFP認定者
今日、老後の金融資産運用は国民的課題と言われ、いよいよ「長期・積み立て・分散」の個人投資家の時代到来か、と思わせます。本書の章立ては、「50代以上の現実」「50歳を過ぎたらやってはいけない」「あなたのお金を狙う人たちに関わってはいけません」「買ってはいけない金融商品」「50歳からの資産防衛」「幸せになるお金の使い方」です。
著者は、ファイナンシャル・プランナーとしての豊富な経験を織り交ぜながら、質の高い老後生活のあり方について真摯に問いかけています。GDP(国内総生産)世界4位を誇る先進国・日本ですが、老後の年金生活にはゆとりがないのが現状です。収入が増やせないか資産運用・形成や資産防衛を考えるとき、本書はきっと「次の一手」の参考になる一冊であると思います。
9 待望の新幹線大全
『地図で読み解く 日本の新幹線』(監修 川島令三、カンゼン、2024) 監修者は鉄道アナリスト
戦前の「弾丸列車計画」が「新幹線」として復活開業し、2024年、還暦を迎えました。本書は、地図をもとに「路線」、「駅」、「歴史」の不思議や秘密を解き明かします。例えば、新幹線にも「踏切」があることや、四国新幹線の開通はいつ?「フリーゲージトレイン(軌間変換)」計画断念の理由、岐阜羽島駅は「我田引鉄」の「政治駅」なのか、リニア新幹線の将来性についてなど、次々と多くの疑問に答えています。本書は鉄道ファン待望の「新幹線大全」と言えるでしょう。
ところで現在でも、SL(蒸気機関車)は、群馬県(上越線、信越本線)や静岡県(大井川鐡道・トーマス号)などで走ったりしています。いわば、新幹線と共存・共栄する「イゴノミクスの世界」ですね!
10「タイパ」・「コスパ」改善のために!
『無駄ゼロ!自分時間が増える 超・時短ハック』(鈴木真理子、明日香出版社、2024) 著者は株式会社ヴィタミンM代表取締役、ビジネスコンサルタント
ビジネスの世界では、「巧遅は拙速に如かず」とよく言われます。「仕事が速くて(しかも)正確」な「時短ハック」を自分のものにできると、公私ともに充実の生活が送れそうですね。そんな期待に応えてくれるのが本書。仕事における「80点主義」や「3割できたら報告」、「優先度と緊急度」の見極め方、メールなら「ファイルは最初に添付」する習慣・「受信トレイ」の整理法などを提案しています。これらを実践すれば、より「質もスピードも上がり、周りから信頼される」ようになるでしょう。
本書は、自分流儀の「時短ハック」を発見し、工夫するためのよいきっかけとなるはずです。仕事にしても家事にしてもサステイナブルな自己流「80点主義」などの時短「定石」を指針に「可処分時間」を増やしたいものです。
いつもご覧いただき、ありがとうございます!
※「医食同源」は身体の栄養、「医〈書〉同源」は心の栄養かなと思います。