1『悩み・不安・困った!を専門医がスッキリ解決 緑内障』(平松類、新星出版社、2024) 著者は二本松眼科病院副院長
緑内障になると「失明する」「人生も終わり」と、私自身もそうでしたが不安に思いがちです。本書は、「失明を99%防ぐ治療とセルフケア」を詳しく解説しています。とくに、眼圧を上げない/下げるために大事なポイントが書かれています。緑内障の「通院間隔」は1~6ヵ月に1回、また目薬の正しい点眼の仕方や効果、その副作用への対処法、スマホやテレビ・パソコンとの適切な距離や使用時間・姿勢の取り方、さらには、入浴・食事・呼吸・睡眠法など、日常生活ですぐに役立つ情報がいっぱいです。
2『そうだったのか!里山のいきもの百物語』(大島健夫、メイツユニバーサルコンテンツ、2024) 著者は詩人。千葉市野鳥の会会長、日本トンボ学会会員
著者によると、里山の言葉が初めて登場した文献は1759年の『木曽山雑話』とのこと、江戸中期のころです。今、その里山は、人の手が加わらなくなり「最大の危機」にあると著者は危惧し、里山の生態系の大切さについて、いきものに焦点をあてながら切々と語っています。「百物語」といえば何か「怖い話」を連想しそうですが、トンボやホタル、ヤマユリ、カラスウリなど鮮やかなカラー写真を見ると、とても愛おしい情感が湧いてきます。
3『衰退産業でも稼げます―「代替わりイノベーション」のセオリー』(藻谷ゆかり、新潮社、2019) 著者は昭和女子大学特命教授、「巴創業塾」主宰
書名の「衰退産業」とは、ローカルなローテク産業である「商店・旅館・農業・伝統産業」を指します。これら産業の新たな活性化なくして日本の再生はありえない、といっても過言ではありません。実際に、地方に家族ぐるみ移住(愛ターン)した著者は、丁寧な取材を重ねて、代替わり時のイノベーションや若者の新規起業による16の成功事例(長野、広島、京都など)を取り上げています。本書は、読者に新鮮な「ビギナーズ・マインド」(初心の気持ち)を吹き込んでくれる一冊です。
4『風の名前』(共著、高橋順子(文)・佐藤秀明(写真)、小学館、2002) 高橋氏は詩人、佐藤氏は写真家
こんなにも「風」があるとは!本書には、およそ400種の風が掲載されており、その多様さに圧倒されます。風は季節や地形、地方によって様々な呼び名があります。また、それぞれの風が「色」や「匂い」を持っていたり、「方角」、「生活」、「労働」などとも結びついて、味わい深い名前として親しまれています。自然現象の風ですが、どれほど私たちの暮らしや人生に影響を与えているか、本書の格調高い詩文と各地の特色ある写真によって知ることができます。
5『加藤正夫の闘いの極意』(加藤正夫、NHK出版、1993) 著者は囲碁プロ棋士九段(1947‐2004)
一時代を画した加藤九段の名著から、私のお気に入りの一冊を紹介します。本書は、第一部「序盤での積極戦法」と第二部「力をつける戦い方」の二部構成です。プロ仲間から「殺し屋加藤」とニックネームをもらうほど、剛腕を誇る実力者。序盤でいかにして主導権を握るか、そして戦い挑んでついに「大石を召し取る」というドラマティックな流れの本書に、すごく魅了されたのを懐かしく思い出します。
※「医食同源」は身体の栄養、「医〈書〉同源」は心の栄養かなと思います。