6『温泉旅行の近現代』(高柳友彦、吉川弘文館、2023) 著者は一橋大学大学院経済学研究科講師
著者は、温泉の魅力を観光行楽、健康志向、インバウンドなど多様な視点から考察。バブル崩壊・コロナ禍に直撃された温泉地は、どのように苦境を脱し活況が戻ったのか?「地域おこし」「インターネット利用」「ホテル・旅館の再生」など興味深く論じています。一読すれば、心豊かに温泉につかりたくなるでしょう。
7『商店街の復権―歩いて楽しめるコミュニティ空間』(広井良典編、ちくま新書、2024) 著者は京都大学教授
全国の各都市で「シャッター通り」、農村では「耕作放棄地」が見られます。本書は、主に商店街・中心市街地の現状と問題点を明らかにしつつ、「歩いて楽しめるコミュニティ空間」として再編を目指すなどの地域活性化策を、具体事例を挙げながら論じています。人口減少や郊外ショッピングモールの進出、ネット取引の拡大など、激変する社会環境のなかで、新たな発想による提言は「まちづくり」への有益な指針となるでしょう。
8『ビジュアル ビジネスモデルがわかる』(井上達彦、日経BP、2021) 著者は早稲田大学教授
ビジネスモデルとは何か?著者はこれを「価値の創造と獲得(稼ぎ方)」であると定義しています。EC(電子商取引)やAI・ビッグデータの活用などのインターネット革命で、最新モデルは「モノづくり」から「デジタル財」を中心に飛躍的に進化してきました。本書は、今日のビジネスモデルの創り方や特徴(有料からフリーへ、所有からシェアへなど)を手際よく整理した「入門書」であり、エキスパートには全体像を確認できる「実用書」となっています。
9『眠れなくなるほど面白い 図解 経済とお金の話』(神樹兵輔、日本文芸社、2021) 著者は投資コンサルタント&エコノミスト
著者に「興味のあるところからお目通し」をと言われるまま、パラパラとページをめくると「投資で騙される人が後を絶たない理由」「なぜサブスクが急増しているのか?」「化粧品の『価格』と『効果』が比例しない理由」など、興味を引かれる50項目ほどが見開き2ページで図解されています。まさに「目からウロコ」の快感を味わうことができます。
10『初段突破 楽に勝てる石の形』(三村智保、NHK出版、2018) 著者は囲碁プロ棋士九段
タイトルに「石の形」とありますから、本書には多くの図解があり、一目で形の良し悪しが分かります。著者は「形を覚えるだけ」で「打つ手を決めることができる」と上達への確かな道を開いてくれます。石の形は「棋力を問わず普遍的なレッスン」とのこと。知らず知らずのうちに悪いクセを持つ私たちアマチュア、本書に学んで良い形の感覚を磨いていきたいものです。
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※「医食同源」は身体の栄養、「医〈書〉同源」は心の栄養かなと思います。