【 医書同源 読書考⑦後編6~10】「ひと月10冊」『昭和高校球児物語』ほか

読書考

6『昭和高校球児物語―前高完全試合のキセキ』(川北茂樹、ぐんま瓦版、2024) 著者はザイマックス取締役
今年の夏の甲子園野球も大熱戦のうちに幕を閉じました。本書は、今から46年前(昭和53年)、甲子園史上初の完全試合を達成した時の群馬県立前橋高校の回想録。著者はチームの主将だった川北氏。この時のエース・松本稔氏も一文を寄せています。県内屈指の進学校「マエタカ(前高)」野球部の「キセキ」を呼ぶ感動のドラマがリアルに伝わってきます。還暦を過ぎた部員たち、その後どのような人生を歩んできたのかも描かれています。

7『80歳の壁〔実践編〕―幸齢者で生きぬく80の工夫』(和田秀樹、幻冬舎、2023) 著者はルネクリニック東京院院長
高齢者になると気になるのが「健康寿命」。著者によると、それを伸ばす要諦は二つ―「やめないこと」と「我慢しないこと」。個人差もあるため、80のヒントのうち、自分に合っていそうなものを実践すると良いそうです。「笑いはガン細胞を駆逐」「おしゃべり・カラオケはのど仏を鍛え誤嚥を防ぐ」はじめ、楽しくタメになるヒントがいっぱい。団塊の世代にはとくにお勧めの一冊。今夜は「良き睡眠食の牛乳」を飲んで休みましょう!

8『「経済学」にだまされるな!―人間らしい暮らしを取り戻す10の原則』(トマ・ポルシェ、NHK出版、2021) 著者はパリ・スクール・オブ・ビジネス客員教授 訳者は岩澤雅利(翻訳家)、白井聡(京都精華大学教員)
国内外を問わず、経済の成長と安定に疑問符が付く時代。果たして経済学は、現実の問題解決にどのように役立っているのでしょうか?市場に無類の信頼を寄せる「新自由主義」はリーマン・ショックで破綻したはずですが、なぜ今も支持されているのでしょうか?「経済学は科学ではない」と断じる著者は、さまざまな経済問題を独自の視点から興味深く取り上げ、読者の「経済常識」を揺さぶります。問題提起の書です。

9『日本の地名―付・日本地名小辞典』(鏡味完二、講談社、2021) 著者は元名古屋市立工芸高校教諭、愛知学院大学講師兼任
誰にでも「ふるさと」があり、遠く離れた「現住所」に住んでいることもあります。ときに市町村合併で古来の地名が失われることもあります。著者によると「地名は貴重な文化遺産」。本書に接して、地名の由来や価値を知り、人生をより豊かに幸せに過ごしたいものです。

10『アマが強くなれない4つの理由』(武宮正樹、毎日コミュニケーションズ、2006) 著者はプロ囲碁棋士九段
アマチュアにとても分かりやすい著者の手ほどきです。4つの理由―①着手に「一貫性がない」②「相手に響かない手を打つ」③「強い石に近づきたがる」④「石の形が悪い」について、各テーマ図による解説があります。実践に活かすには怖くて勇気が必要かもしれませんが、武宮九段は「碁はわからないからこそ、楽しい」「囲碁も人生も同じ」と励ましてくれています!

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※「医食同源」は身体の栄養、「医〈書〉同源」は心の栄養かなと思います。

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