今回より前後2回に分けたいと思います。よろしくお願いいたします。
1『0円で生きる―小さくても豊かな経済のつくり方』(鶴見済、新潮社、2017) 著者はフリーライター
本当に「0(ゼロ)円で生きる」ことができるのか?というのは野暮な疑問。「資本主義」に愛想つかした人々への熱烈な応援メッセージと言うべきでしょうか。著者は、「お金への依存度を下げる」いわば「無料の生活圏」を楽しみながら社会に広げていく手法を開示。「貰う」「助け合う」「拾う」「元手0円で稼ぐ自分たちの経済」など、人間味あふれる実践例が満載。
2『世界史と地理は同時に学べ!』(山﨑圭一、SBクリエイティブ、2023) 著者は福岡県公立高校講師
タイトルから高校生や受験生向けかと思いきや一般読者にもおススメしたい本です。世界の出来事は「歴史的背景」と「地理的背景」が交わっています。アメリカ大統領選の争点にしても、国際社会のさまざまな紛争や対立などを「理解」する上でも、この二つの視点が必要なことが分かります。手元に置いておきたい一冊です。
3『ここに物語が』(梨木香歩、新潮文庫、2024) 著者は作家
生身の自分なのに物語の中に引き込まれ「その場に居合わせている感覚」に襲われる読書!読了すると現実の世界が全く違って感じられる経験は、誰にでもあるのではと思います。そんな臨場感を「主人公」とともに味わう読書の醍醐味―著者が、私たちを古今東西の世界へ、人生の各ステージへと誘う著作を紹介しています。
4『失われた古代文明―歴史に消えた40の民族』(フィリップ・マティザック、河出書房新社、2024) 著者は歴史学者、訳者は安原和見(翻訳家)
人類の歴史はどのように受け継がれてきたのか。強大さを誇った民族が記憶からさえ完全に消え去った例は多い。なぜ、滅亡したのか、生き残った征服者にはどんな影響を及ぼしたのか、歴史の真実を知りたいものです。本書は、一般通史とは異なった視点による「西洋文明史」であり、多くの図版もあり興味は尽きません。
5『昭和史の急所―戦争・天皇・日本人』(保坂正康、朝日新書、2019) 著者はノンフィクション作家
「原爆投下」で終わったあの戦争はいったい何だったのか?戦後生まれの人にとって、まして平成生まれの世代にとっては遠い「出来事」。「誰がなぜ戦争を始めたのか」「戦争終結はなぜ困難を極めたのか」「戦争の教訓から戦争のない世界をいかにつくるのか」。本書はこれら歴史の冷厳な問いに正面から向き合っています。
※「医食同源」は身体の栄養、「医〈書〉同源」は心の栄養かなと思います。