【 医書同源 読書考⑤】私の読書から「ひと月10冊」、寸評書評

読書考

猛暑続きの日本列島、読書に親しんで暑さを忘れたいです。

1『新幹線をつくった男―伝説のエンジニア・島秀雄物語』(高橋団吉、PHP文庫、2012) 著者は作家

驀進する黒い巨体デゴイチ(D51)をつくった人物は新幹線もつくったのですね。その人物こそ島秀雄。島の奮闘により、戦後、斜陽と思われた鉄道が見事に復活!海外の高速鉄道ブームに扉を開きました。

2『ブラジャーで天下をとった男―ワコール創業者塚本幸一』(北康利、プレジデント社、2023) 著者は作家

近江商人の血を引く塚本幸一氏、波乱万丈の生涯を「秘話」も含め大胆に描く。実業とともに政治にも強い関心を寄せる。「政治の無策と腐敗」に悲憤慷慨、松下幸之助氏に働きかけ「松下政経塾」の設立に尽力しました。

3『日本再生のレシピ―地方再生のレシピ』(奥田政行、共同通信社、2023) 著者はイタリア料理人

地方回帰で、田舎にブランドをつくった著者。都会は仕事、地方は人柄が第一と言う奥田氏、山形県鶴岡市が「ユネスコ食文化創造都市」に認定される原動力となったのです。

4『兼業農家の教科書―小さい農業でしっかり稼ぐ!』(田中康晃、同文舘出版、2023) 著者は合同会社エースクール代表

小規模農家ながら年商1000万円の「実証実験結果報告書」。ダブルワーク、トリプルワークの時代を兼業農家で乗りきる、新しい日本の未来を拓く貴重な体験記です。

5『日本酒はおいしい!―イラストで読む日本酒のすべて』(ワダヨシ/浅井直子編著、パイ インターナショナル、2024) 編著者は食文化の研究家

「飲むから健康」なのか「健康だから飲む」のか。「清酒」「日本酒」「SAKE」「クラフトサケ」の違いとは?「美味」と「酔い」の世界へ読者を誘ってくれます。夏本番、飲むならフルーティーな「冷酒」はいかがでしょう!

6『ブックオフから考える―「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(谷頭和希、青弓社、2023) 著者はライター・業界研究家

ブックオフ経営の「革命性」とは?…出版業界の「再販制」に対するアンチテーゼとなり、「暗くて狭い」古本屋のイメージを打破したこと。本は「文化財」から「消費財」となったわけです。ブックオフの店舗は地域性豊かです。

7『世界文学をケアで読み解く』(小川公代、朝日新聞出版、2023) 著者は上智大学教授

「女性が無償の家事労働やケア労働を担う」状況を欧米文学を中心に語られています。「執筆する時間を得るため家族の義務を果たした」C・ブロンテなどの苦労にも触れる新しい視点。ブロンテ三姉妹、懐かしい人も多いのでは。

8『中高生のための 小説のつくりかた 創作に役立つ実践知識とヒント』(田中哲弥監修、メイツユニバーサルコンテンツ、2024) 著者は小説家

中高生向けながら一般読者にも大いに役立ちます。いかにテーマを決め、ネタを見つけ、プロットを立てるか。謎の提起から起伏ある展開を経てどんでん返しの結末へ、ストーリーのつくり方を手ほどき。きっと挑戦してみたくなるでしょう。

9『日本プロ野球の歴史―激動の時代を乗り越えて』(菅谷斉、大修館書店、2023)  著者は元共同通信社記者

巨人・川上野球の9連覇などの話題だけでなく、大リーグにも目配せしています。大谷翔平選手所属の「ドジャース戦法」(データ野球)は、とくに興味深いです。浪商出身の尾崎行雄投手、なんとプロ入り17歳で20勝、もの凄かった記憶が私にもあります!

10『魚ビジネス』(ながさき一生、クロスメディア・パブリッシング、2023) 著者はさかなプロダクション代表取締役

たんなる「養殖」とは異なる近大マグロの「完全養殖」は世界初。サバ缶人気の秘密、「角上魚類」・「吉池」の対面販売の魅力、「握りずし」VS.「箱ずし」、魚のゲノム編集・細胞培養、自宅での鮮魚の保存方法に至るまで言及、待望の「魚ビジネス大全」です。

※「医食同源」は身体の栄養、「医〈書〉同源」は心の栄養かなと思います。

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