ここ十日間ほど、ぼくは新型コロナに罹って8度9分の高熱、喉の痛みと咳で苦しみました。インフルエンザと同じような症状だったよ。とくに夜「吐き気」がして寝られない時は一番辛かった。昨年5月、コロナは「5類感染症」に移行したとのことで、解熱剤と喉の薬をもらっただけでしたが、快復!ゼミのみなさんもまだまだ気を付けてくださいね。
さぁ、「お金の役割」、今回は2回目。ゼミ長さん、今日のテーマは、なニカイな?
(佐々木ゼミ長)えぇ、前回の (1)「価格表示」に続いて(2)「流通手段」(流通貨幣)です。田中くんから、お願いしまーす。
(田中くん) 「キャベツひと玉145円」というのが「価格表示」機能だったけど、それを実際に買えるのがお金の「流通手段」としての役割。お金はキャベツと交換しているので「交換手段」でもあるけど、こうしてお金のお陰で商品が流通(=取引)できているので「流通貨幣」、略して通貨、まさに市場経済の主役です。この働きがなければ、経済は動けへん。お金があってこそ売り買いできるってこと。けど「買う人」がおらんと「売れん」、なので「流通手段」は「購買手段」ともいうらしい。(井上くん;なぁ~んか危うい感じ。地位とか名誉も「買える」という意味では「買収手段」にもなるんやろ?お金って魔物なんだ…)
(村上さん)なるほどー、お金が経済を動かしてるってわけだけど、売り手(企業)より買い手(消費者)の役割が大きいってことなんだわ。企業が広告・宣伝などマーケティングに力を入れてるのは、買ってもらいたいからでしょ?教科書なら「消費者主権」なんて書いてあるけど、この頃耳にする「カスハラ」となると言語道断でしゅけんね。(先生;キャッチですぐ思い出すのは「ゴホン!といえば龍角散」とか「クシャミ3回、ルル3錠」かな、旨く出来てるなぁ。「100円でポテトチップスは買えますが、ポテトチップスで100円は買えません…」というのもあって感心したことあるよ)
(高橋さん)そうそう!でねー、流通するお金は中庸(重要)でしょ?多すぎても少なすぎても良くないはずよ。だから大きく見ると、GDP(総生産)を支えるだけのお金の量(有効需要)が必要になるってことだね―インフレっていうのはお金が増えすぎてるんでしょうし、デフレって時はお金が足りてないんでしょ?先生どうですか。
(先生)はい、「商品経済」(実体)と「貨幣経済」(金融)はイコールの基本関係だから、理屈では後者の「通貨流通量」(マネーサプライ/デフレのせいか今はマネーストックに変わった)は、前者の「商品流通量」(GDP)に見合ってなくてはならないんですね。お金多すぎて、物価の二桁上昇(ギャロッピング・インフレ)なんてことになるとそれは「こまっちゃうナ」1)。アルゼンチンでは現在、年率300%近い猛烈なインフレに見舞われているけど、日本の場合は、先進国でもともと生産能力が高いので、まさかアルゼンチンみたいにはならないでしょう。
それにしてもだよ、物価の下落(デフレ)の方が大変、、。いったん始まったらほんとに困っちゃう。インフレより質(タチ)が悪いかもしれない。金融緩和策では「どうにもとまらない」2)ことも判明したよね。これは例の「意地元」(異次元)の黒田バズーカ超金融緩和策でさえ「デフレ脱却」を目の前にしながら、マ~マ(ニーチギン)に聞いても笑っているだけ~(♪)ってことになっちゃった。金融政策は「紐」(ひも)に例えられる通り、なんとか引けるが押せない。押せるハズ~ガない。つまりインフレ対応は金融引締めで可能でも、デフレ対策となると極めて難しい。デフレって実体(実際)は「デフレ不況」ですよ、お金が足らないのじゃなくて、生活不安であまり買ってくれず市場にお金が出回らないので、ずーっと不況(経済停滞)も続いてきたんじゃないですか。
でもね、このところようやく日本もデフレ脱却。消費者物価上昇率は2.5%(2022年)→3.3%(23年)、今年4月も2.5%を記録、経済成長率は低いままだけど(21年2.2%、22年は1.0%)、もうデフレじゃないね。いろんなインベンション3)(創意工夫)へ向けて、企業にもバッハ(ハッパ)かけたい。いよいよ、新たなビジネスモデルと革新投資で所得と需要(新たな消費)の増大を図る絶好機が到来しているんだと思います。
(松尾くん)なるほど!昭和のころですと、経済が超元気な成長期にあったわけでしょうから、家電「三種の神器」(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)はじめ国民の消費意欲も旺盛でひどいデフレなんて当然、デフレて(出て)なかったんですよね。景気が悪くなっても「公定歩合」(当時、日銀の対民間銀行貸出金利)を下げるだけの金融緩和策で直ぐに回復!そんな成長のダイナミズム(勢い)が溢れてたぶあいね。
ここへきてやっと令和経済も上向き始めたんですね。ただ、輸出企業など円安効果、株高効果を安易に享受し続けていると、日本経済の真の競争力も成長力も衰えてしまいかねませんよね、先生(うん、全くそのとおり!今が正念場!令和版「三種の神器」ってないかな?)(おっと、チャイムりーにピンポーン!)
(井上副ゼミ長)今日はお金の「流通手段」機能の勉強でした。お金が無くならない限り市場経済は永遠にサステイナブルってことも分かった気がします。日本経済もうまく回り出して再び活気ある人やモノの行き交う動きへと、交流(こういう)ふうに盛んになればいいなと思います。今日は山本リンダさんの「登場」、「おさがわせ」(?)しました。
では、また来週!
(画像は日本最古の通貨「和同開珎」、和銅保勝会HP)
1)昭和歌謡を代表する一人・山本リンダのデビュー曲の題名。
2)これも山本リンダの大ヒット曲。
3)「インベンション」はセバスチャン・バッハ作曲のピアノ練習曲。