(ゼミ長) 今日は「猫の日」ですよね。ニャンニャンニャン!!!
今回は、M.ガブリエルの『倫理資本主義の時代』(ハヤカワ新書、2024)を取り上げましょう。では、報告は松尾くん、ニャンで読んだの?
(松尾くん) 企業経営者にCSR経営(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が問われている現代、本書を読んでみたとです。

(ゼミ長) 私もいつか日経新聞でね、ガブリエルさんのインタビュー記事「資本主義を倫理と結ぼう――不道徳な行い、社会の危機を呼ぶ」が載っていたんで、ちょっと気になってたんよ、、、。
(先生) あぁ、そ~ぉ?「資本主義」って「不道徳」だから「危機」に陥るっていうんだね。彼は、どんな社会の危機を指摘しているのかな?
(ゼミ長) えぇ、インタビューでは、今日の資本主義は気候変動や経済的不平等、ウクライナ戦争など、いろんな危機が複雑に絡んでいると言うんですよ。松尾くん、どう?
(松尾くん) うん、本書で書かれてるのは、①経済格差の拡大 ②気候変動 ③自由主義の危機 ④AIによる雇用危機 ⑤社会の高齢化 ⑥インフラ危機 ⑦テロと帝国主義 ⑧飢餓と極端な貧困など。これらの危機が絡み合う状態を「入れ子構造の危機」(=網の目の危機:ネステッド・クライシス)と呼んでます。
(先生) うわっ!難しい、、、。それをどうやって解決するというのかな。どれか主要な危機を解決すると、他の危機も次々に解決されるってわけ?そんな簡単な話じゃないんでしょ?「入れ子」というのは、いろんな危機が入り混じっているような状態なんだろうし、、、。
(松尾くん) ですから、「倫理」とかいうものを柱というか土台にして、資本主義の危機を解決するというのだと思います。何かの具体的な策でそれぞれの危機に対応するにしても、基本になる考え方として「倫理資本主義」を提起したんだと思いますが、、、。
(先生) それって、「新しい資本主義」をつくろうということなんかな。いつか検討した松島斉氏の「新しい資本主義論」―「私的利益」と「倫理」の結合を説く「資本主義の新しい課題」論―を思い出すけど。じゃー、ガブリエル氏のいう“万能薬”みたいな「倫理」ってなんなんだろう?
(松尾くん) えーっと、こんな例、出しています。人が「溺れる子どもを助ける」のは「道徳的信念があるということだ」、これは「人類共通の人間性」(p.27)であると、、、。
そこで、①人間は生きるために他の生物や自然とも「共生」する ② 企業は「人間の自律性」を尊重し「市場での競争と協力」の仕組みをつくる ③ 企業経営に「最高哲学責任者(CPO:Chief Philosophy Officer)」が率いる「倫理部門」を設置する、などと提案してます。
(先生)なるほど。その「倫理部門」の導入が「倫理資本主義論」の核心的な主張なのかな?
それにしても、哲人「アリストテレス」みたいな立派な現代人がどっかにいるといいけどね、、、。もう一つ言えば、このごろ、“国家経営”に「倫理部門」みたいな組織の設置が必要な国が多そうやなぁ、ニャンとかならないだろうか。
(ゼミ長) そうですよぉ……。今日は「猫の日」、招き猫がみんなにたくさんの幸せを運んできますように!!ピンポーン・パンポーン♪
※ 画像は、鹿児島「仙厳園」
