【イゴノミクスの世界 Igonomics World ④】現代経済―「イゴノミクスの世界」〈格言と法則〉で読み解く!

イゴノミクス

◆「封鎖を許さない」―毅然と立ち向いたい!

トランプ政権の登場で、世界中、振り回されて大変。G.テット氏によると、米政府は半導体大手インテルの株式10%を取得し、ロッキード・マーチンなど防衛大手にも出資する意向らしいですが…(日経、9月3日付)。「中国がアメリカに似てきた」から「アメリカが中国に似てきた」とは、驚くべき時代の変化?です。

さて、関税、関税と聞くと、妙に「愛国的」な臭いがしてきます。トランプ政権は「相互関税」と称して自国本位の高関税政策を打ち出しましたが、政権一期目よりさらに強硬な姿勢。

戦前の50%もの関税を張り巡らしたブロック経済が悲惨な戦争をもたらした教訓は一体どこへ。自由貿易を推進するWTO(世界貿易機関)は、いま何をしているんでしょう?

囲碁の世界では、自分の石が相手の石に囲まれてしまうと息(生き)苦しい窮地に陥ります。相手の弱点を見つけて包囲網を突破できなければ形勢は一気に不利になります。ですが、攻める側もまた決死の覚悟で危険を冒しています。ゲームの空間ながら、双方とも命がけの応酬です。

この図で、△の白が黒を包囲してきました。黒はまずAと打ち、白がイならロ、ロならイと打てば、黒は外へ出られます。攻める白は、左下の一団がまだ生きていません。(図は『井桁健太の囲碁チャンネル』から、一部修正)

トランプ政権の高関税策により、かつては2%程度だったアメリカの平均関税率は、現在では約20%、ライバルの中国に対しては突出して50%を超えています。

今や落ち目となった「覇権国」アメリカを率いて強欲の「エゴノミクス社会」に向かうトランプ政権。いずれ生身の市場経済のパワーに反撃され墓穴を掘ってしまいそうです。

アメリカは、2.7%(25年7月)のインフレ率と1.9%(IMF予測、24年は2.8%)の低い経済成長率。パウエルFRB議長に圧力をかけて金利を下げ、株価と経済成長を刺激しつつ、ドル安で貿易赤字を減らしたいのでしょうけれど、高率関税の影響を受け「そうは問屋(=インフレ)が卸さない」のではないでしょうか。

次の一手 アメリカを相手に自国は「〇〇%程度の関税で助かった」というだけでは済まされないのでは。日本としては、長期的観点に立ち全世界を視野に入れ、メリハリを付けた国際的連携による「経済立国2.0」をめざすのがよいと思われます。

◎「イゴノミクスの世界」格言と法則

「封鎖を許してはならない」

「鎖国みたいな政策は、どうも私の性に合わない」とは、豪放磊落な棋風で鳴らした藤沢秀行氏の言葉。「門戸開放」のもと、広い世界(=局面)を見渡した「クリエイティブ」な着手が明るい未来を拓くでしょう。

※トップの画像は、テレ朝NEWSより。
※「包囲網」については、拙著『イゴノミクスの世界』2019年、pp.138-140、参照。

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